会社を辞めて半年。
前職で身につけた実務は問題なく回るのに、見積書の金額を打ち込む手が止まります。
この金額で出して、受注できるのだろうか?もっと安くしておかないと無理なのでは….
そんなことを考えつつも、断りたい案件を断れず、来月の入金予定を何度も数え直してしまう…
こうしたときにどうすべきかという判断は、書籍や教科書に答えが載っていません。家族に話せば心配され、元同僚に話せば会社員の前提で返ってきます。
事業の話が事業の話として通じる相手は、どこにいるのでしょうか。
順番は決まっています。まず課題を一つに絞り、無料の公的窓口で論点を整理します。継続して見てもらう必要が出てから有料を検討し、その可否は五つの基準と回収計算で決めます。
対象に入ることと、相談内容がかみ合うことは別の話です。受託制作・対面サービス・BtoB受託の三つの型で、窓口と聞き方まで具体的に見ていきます。
- 個人事業主が無料で相談できる公的窓口と、対象条件・回数・相談方法の違い
- 相談前に課題を一つに絞る手順と、受託制作・対面サービス・BtoB受託それぞれの最初の窓口
- メンターを選ぶ五つの基準と、初回30分で合わない相手を見分ける方法
- 有料の提示額を回収期間から測る計算と、事業者として契約するときの確認項目
個人事業主のメンターとは何をする人か
相談者メンターとコンサルタントは、何が違うのですか?



助言と壁打ちで判断を支えるのがメンター、分析と解決策の提供まで担うのがコンサルタントです。
個人事業主にとってのメンターは、自分の経験をもとに助言し、こちらの判断を支える人です。作業を引き受ける相手ではなく、決めるための材料と視点を足す相手になります。
似た立場の人と取り違えると、期待と実際がずれます。頼みたいのが助言なのか代行なのかで、声をかける先が変わります。
| 相手 | 主な役割 | 関わり方 | 費用の発生 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| メンター | 経験を踏まえた助言と壁打ち | 対話中心。決めるのは本人 | 無料から有料まで幅がある | 数か月から年単位で断続的 |
| コーチ | 質問で本人の答えを引き出す | 対話中心。助言は控えめ | 有料が中心 | 回数や期間を決めて実施 |
| コンサルタント | 課題の分析と解決策の提供 | 成果物や実行支援を伴う | 有料 | 案件単位または継続契約 |
| 顧問税理士 | 税務の申告や相談などの専門業務 | 実務の受託 | 有料 | 継続契約が中心 |
四つは併用できます。顧問税理士に数字を任せながら、値付けの考え方はメンターに聞く、という組み合わせは珍しくありません。
助言どおりに動いても、売上が戻らないことはあります。それでも、迷っていた二週間が二日で終わるなら、相談した意味はあります。
相談相手を持つときに起きる副作用
相談を続けていると、次のようなことが起きます。どれも相手の質ではなく、こちらの使い方から生まれます。
- 依存:自分で決める力が育たず、相談しないと動けなくなる。判断のたびに自分の結論を先に言ってから聞くと、これは防げます。
- 助言の鵜呑み:相手の言葉を検証せずに実行してしまう。まず小さく試し、結果を見てから広げます。
- 前提のずれ:相手の成功体験が別の業種や別の時期のもので、自分の商圏には当てはまらない。
初回に「それは何年前の、どんな規模の話ですか」と一度聞くだけで、三つ目はかなり減ります。
税務や法律の判断は資格を持つ窓口へ
相談を進めると、経費の扱いや契約書の効力といった話題に行き当たります。制度や一般的な仕組みの説明を聞くのは問題ありません。
ただし自分の帳簿や契約に当てはめた個別の可否判断は、無償であっても税理士や弁護士の業務とされています。メンターの経験談は仮説として持ち帰り、可否は所管の窓口で確かめます。
取引先とのトラブルなら、このあと扱う無料の相談窓口が使えます。
相談する前に課題を一つに絞る



相談したいことが多すぎて、話がまとまりません。どうすればよいですか?



症状ではなく本体を一つ選びます。初回はいちばん切実な論点だけに絞ってください。
「経営がうまくいかない」のままでは、誰に相談しても話が散らかります。窓口は課題の種類ごとに分かれているため、先に現在地を一つに決めるほうが早く進みます。
複数の課題が同時に来ているように見えても、片方がもう片方を引き起こしていることがほとんどです。入金が遅れて苦しいのか、単価が低いから件数を追わざるを得ないのか。順番をたどると本体が見えます。
| 目に見えている症状 | 本体になりやすいもの | 確かめる問い |
|---|---|---|
| 月末に資金が足りない | 単価か、入金までの日数 | 単価を1割上げるのと入金が30日早まるのでは、どちらが効くか |
| 案件が途切れる | 集客の導線か、既存客の再依頼 | 直近1年の受注のうち、紹介と新規はそれぞれ何件か |
| 忙しいのに手元に残らない | 見積もりに入っていない作業 | 無償の追加対応に、月何時間使っているか |
| 値上げを言い出せない | 取引先の偏り | 上位2社で売上の何割を占めているか |
| 開業まわりが片づかない | 手続きと事業計画の混同 | 届出の話か、事業の組み立ての話か |
最初の相談は、いちばん切実な一つに絞ります。論点を三つ持ち込むと、どれも浅くなって何も決まりません。
単価そのものの決め方は単価の相場、既存客への切り出し方は値上げ交渉の進め方にまとめています。新規が止まっているならひとり社長のWeb集客が先です。
なお、開業届や青色申告承認申請の提出先は納税地の税務署で、e-Taxや郵送でも受け付けています。手続きは税務署、事業の組み立ては経営相談の窓口、と分けると遠回りになりません。
書き方の手順は開業届の出し方にあります。
業種で変わる最初の窓口と質問文
受託制作(デザイン・開発・映像など)は、単価が案件ごとにばらつき、修正の追加分が無償になりがちです。案件一覧と単価表を持って、公的支援窓口の経営相談へ向かいます。
聞き方は「この工数で値上げを切り出すなら、どの取引先からが現実的ですか」です。
対面サービス(施術・教室・美容など)は商圏が半径2キロで終わります。新規が止まった翌月に、そのまま売上が落ちます。
この相談は地域の商工会議所・商工会が近道です。地域の事業者を長く見てきた経営指導員に、「同じ規模の店は、新規と再来のどちらから手を打っていますか」と聞きます。
BtoB受託(コンサル・ライティング・バックオフィス代行など)は、取引先が二、三社に偏り、条件を言い出せなくなります。
フリーランス法で、発注側には取引条件の明示と、支払期日の設定が義務づけられました。
だから「お願いできますか」ではなく、「明示をお願いします」で足ります。契約や支払いの相談は、フリーランス・トラブル110番が受け付けています。
個人事業主が無料で相談できる窓口は



無料の窓口は、本当に費用がかからないのですか?



ここで挙げた窓口は公式ページで無料と確認できます。ただし対象条件と回数は窓口ごとに違います。
中心になるのは四つです。よろず支援拠点、地域の商工会議所・商工会、日本政策金融公庫の創業相談、そしてフリーランス・トラブル110番です。
名前を知っていても、対象条件や予約方法までは分かりません。下の表に載せる基準は次の三つにしました。
- 個人事業主や小規模事業者が対象に含まれること
- 相談そのものに料金がかからないと公式ページに書かれていること
- 条件を自分で確認できる公式ページがあること
公式ページに書かれていない項目は、この表でも「記載なし」のままにしています。推測で埋めると、行った先で話が違うことになります。
| 窓口と運営 | 対象になる人と相談 | 費用 | 予約とオンライン | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| よろず支援拠点(国が全国に設置。運営は各都道府県の設置機関、全国本部は中小機構) | 中小企業・小規模事業者。開業前後どちらも | 無料。回数の制限なし | 電話・メール・FAX等。オンラインの記載は拠点ごとに違う | 中小機構、全国本部 |
| 商工会議所・商工会の経営相談(各地の商工会議所・商工会) | 例:東京23区内に事業所または創業予定、原則従業員5名以下。同一内容の再相談は断る場合あり | 無料 | 支部へ電話、本部はWEB予約。オンライン相談の実施に言及あり | 東京商工会議所 |
| 日本政策金融公庫の創業相談(日本政策金融公庫) | 創業をお考えの方。資金の相談が中心 | 無料 | 事前予約制。来店またはオンライン相談の予約。1回約1時間 | 来店・オンライン相談、創業支援 |
| TOKYO創業ステーション(東京都と東京都中小企業振興公社) | 起業について知りたい人から動き出している人まで | メンバー登録は無料。相談料の記載は公式ページになし | 事前予約制 | 東京都創業NET |
| フリーランス・トラブル110番(厚生労働省から第二東京弁護士会が受託して運営) | フリーランス・個人事業主等。発注事業者から受託した仕事のトラブルが対象で、自分が購入した商品のトラブルは対象外 | 無料 | 電話0120-532-110、メール。Web相談は完全予約制 | 公式サイト |
| ひまわりほっとダイヤル(日本弁護士連合会と各弁護士会) | 中小企業・個人事業主の事業上の法律問題 | 初回30分無料。一部の県は30分5,500円 | 0570-001-240。平日10時から12時と13時から16時 | 日本弁護士連合会 |
開業して半年以上たっている人は、公庫と創業ステーションが対象から外れることがあります。どちらも創業前を主な対象にした窓口だからです。
公庫は資金調達の相談が本体で、助言者を探す窓口ではありません。行き先を間違えると、その1時間がまるごと無駄になります。
よろず支援拠点の対象は拠点ごとに書き方が違い、宮城県拠点のように個人事業主・中小企業・創業予定者向けと明記している例もあります。
出典:宮城県よろず支援拠点
商工会議所・商工会も地域で運用が分かれ、継続支援は会員向けという地域があります。最初の一本の電話で確かめるのは、対象条件と回数と相談方法の三つです。
10拠点を調べて分かった運用の差
「拠点により異なる」で終わらせないために、実際に開いて数えました。中小機構の拠点一覧ページからリンクされている拠点サイトのうち、地域が重ならないように10か所を選んでいます。
確認日は2026年8月15日、対象は北海道・宮城・埼玉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪・香川・沖縄です。下層ページまでは追わず、トップ画面で読み取れる記載だけを数えました。
| トップページで確認した記載 | 記載があった拠点数 |
|---|---|
| 相談が無料であること | 10拠点中10 |
| Web予約フォームへのリンク | 10拠点中9 |
| オンライン相談の実施 | 10拠点中6 |
| 相談回数への言及 | 10拠点中5 |
この数字は公開ページを開いて数えた自前の集計で、公表統計ではありません。
無料であることはどの拠点も書いていますが、オンラインの可否は半分強しか書いていません。自分の県のページに記載が無くても、できないとは限らないので、予約の連絡で聞きます。
無料で足りる相談と有料に切り替える境目
無料で足りるのは、論点の整理、制度や窓口の案内、事業計画の考え方の確認です。単発で完結する相談なら、これで十分に機能します。
切り替えを考えるのは、次が重なったときです。
- 相談したい内容が自分の業種に固有で、一般論では届かない
- 月単位で経過を見てもらいたい
- 前回の話を覚えていてもらう必要がある
東京商工会議所は、同一内容の再相談を断る場合があると書いています。2回目以降は論点を変えて持ち込むか、有料に切り替えるかの二択になります。
継続して見てもらう相手はどこで探すか



継続して見てもらえる相手は、どこで探せばよいですか?



勉強会・SNS・紹介・有料マッチングの四つです。費用が小さく利害の薄い順に試します。
探し先は四つに分かれます。勉強会やコミュニティ、SNS、紹介、有料マッチングです。
並べる順番は、費用負担が小さく、相手との利害関係が薄いものからにしました。金額が小さいほど試しやすく、自社商材を売る動機のない相手ほど助言が中立に近づくためです。
| 探せる場所 | 費用 | 出会える相手 | 向いている相談 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 勉強会やコミュニティ | 無料から会費制 | 同業や近い規模の事業者 | 実務の進め方、相場観 | 相性の合う場を探す時間が要る |
| SNS | 無料 | 発信を続けている実務者 | 手法の情報収集 | 発信内容と実態の一致は不明 |
| 取引先や元同僚の紹介 | 無料 | 事情を知る近い立場の人 | 業界固有の判断 | 関係が近い分、断りにくい |
| 有料マッチングサービス | 有料 | 登録している専門家や実務者 | 特定分野の継続的な相談 | 料金と提供範囲の事前確認 |
一か所で完結させようとせず、無料窓口で整理した論点を持って回るほうが早いです。
SNSと紹介の使い分け
SNSで探すなら、発信の蓄積を見ます。半年から一年さかのぼり、実務の細部を書いているか、うまくいかなかった話も書いているかを確認します。
紹介は精度が高い代わりに、合わなかったときに離れにくくなります。受ける段階で「まず一度話を聞かせてください」と区切ると、断る余地が残ります。
どちらも、初回のやり取りでこちらの状況を先に聞いてくるかどうかが分かれ目です。
有料マッチングと公的な専門家派遣
有料マッチングでは、掲載者の多さではなく個々の相手を自分の基準で見ます。料金の水準を知りたいときは、公開されている下限が参考になります。
一例として、マッチングサービスのMENTAは単発1,000円から、月額3,000円からと案内しています。平均契約価格帯1.4万円という自社公表値も載っています。
出典:MENTA 料金の案内
これは1サービスの掲載下限であり、業界の相場ではありません。
公的な経路もあります。認定経営革新等支援機関の検索では、税理士や中小企業診断士、金融機関などを地域から探せます。ただし相談料の記載はなく、無料とは限りません。
支援機関に相談したうえで、その機関が必要と判断すれば専門家派遣につながる中小企業119という仕組みもあります。費用と回数の条件は制度ごとに違うので、申し込む前に相談先で確かめます。
東京都のTOKYO創業ステーションのように、担任制で事業計画づくりを見る公的施設もあります。
生成AIで足りる範囲と足りない範囲
壁打ちの一部は、生成AIで足ります。論点の言語化、一般的な制度の整理、質問文の下書きは任せられます。
一方で、自分の商圏の数字、値上げを切り出す相手の選定、契約の可否判断は、人と有資格者にしか出せません。
AIで下書きを作り、その紙を持って窓口に行く。いまのところ、これが一番速い順番です。
よろず支援拠点に予約する手順



予約はどのくらい前に申し込めばよいですか?



1週間後以降の日程が対象で、仮予約の連絡に3営業日かかります。2週間前が目安です。
予約は電話・メール・FAX等で受け付けています。ネット予約フォームを公開している拠点もあります。
ここでは東京都拠点を例に、予約から初回相談までを追います。フォームの項目や時間枠は拠点ごとに違うので、自分の県の拠点ページで置き換えて読んでください。
- 拠点を選ぶ:拠点一覧で自分の都道府県を選びます。拠点名・電話番号・設置機関が載っているので、そこから拠点サイトに入ります。
出典:中小機構 よろず支援拠点とは - フォームまたは電話で申し込む:東京都拠点のフォームで入れるのは、屋号・業種・売上高・従業員数・連絡先・相談方法・相談内容・希望日時です。相談内容は300字以内、希望日時は第3希望まで書きます。
- 仮予約の連絡を待つ:1週間後以降の日程が対象で、受付から3営業日以内に仮予約メールが届きます。相談枠は9:30、11:00、13:00、14:30、16:00に始まります。
出典:東京都よろず支援拠点 相談予約
持ち物についての記載はないため、必要な資料は予約時に問い合わせます。
1週間後以降の日程で、仮予約の連絡に3営業日。今月中に値上げの可否を決めたいなら、2週間前には申し込みます。
担当と合わないときの引き直し方
話がかみ合わないことは起こります。無料である以上、引き直せます。
同じ拠点で相談分野を指定する:次の予約で「今回は資金繰りではなく価格設定を相談したいので、その分野に詳しい方をお願いできますか」と伝えます。人を否定せず、分野で言い換えるのが角の立たない言い方です。
曜日やサテライト会場を変える:相談員は曜日で入れ替わることがあります。埼玉県拠点のように県内の事業者を対象と明記する拠点もあるため、他県ではなく同じ拠点の中で日程を変えます。
出典:埼玉県よろず支援拠点
商工会議所と併用して比べる:同じ論点を別の窓口にも持ち込みます。二人に同じ質問をすると、自分の課題のどこが業種特有でどこが共通かが分かります。
メンターを選ぶ基準は何か



初回だけで、合う相手かどうか見分けられますか?



五つの基準は最初の30分で確かめられます。現状を聞かずに手法を勧める相手は見送ります。
見る点は五つです。同業種か同規模の経験、いまも事業を続けているか、自社商材への誘導、専門外を認めるか、こちらの話を先に聞くか。
- 同業種か同規模の実務経験:業種が違っても規模が近ければ通じます。どちらも遠いと、前提から食い違います。
- いまも事業を続けているか:過去の成功体験だけで語る相手より、同じ市場に残っている相手のほうが情報が新しい。
- 自社商材への誘導がないか:相談の結論がいつも同じ商品の購入になるなら、それは助言ではなく営業です。
- できないことをできないと言うか:どんな問いにも即答する相手より、専門外を認めて別の窓口を挙げる相手。
- こちらの状況を聞いてから話すか:初回の30分、ほとんど相手が喋っていた。その使い方は二回目以降も変わりません。
五つとも、初回の30分のうちに確かめられます。
初回で分かる合わない相手
初回の30分で、離れどきはだいたい見えます。次のどれかが起きたら、その場で契約の話に進まないでください。
現状を聞かずに手法を勧めてくる:売上も取引先の構成も聞かないまま、話が「まずこの手順で発信を」に着地します。「今日は現状の整理までにさせてください」と区切ります。
専門外なのに断言する:経費にできるか、この契約は解除できるかという問いに、根拠を示さず言い切ります。
有資格者の領域を断言する相手は、ほかの話も同じ精度で語っている可能性があります。「その点は所管の窓口で確認してから、改めてご相談させてください」で切り上げます。
結論が毎回同じ商材に着地する:相談の中身が違うのに、答えが同じ講座や同じツールの購入に戻ります。三回続いたら、見送りの連絡を送ります。
提示額の妥当性はどう測るか



提示された金額が妥当かどうかは、どう確かめますか?



1回あたりの単価を出し、何か月で回収するかを先に決めます。期間の置き方で必要な増収額が変わります。
個人向けメンターの料金について、公的に集計された相場は確認できませんでした。外から確かめる代わりに、自分の数字で測ります。
※ここから先は予測を含みます。増収の見込みは自分で置く仮定であり、確定した数字ではありません。
三か月で24万円、月2回で計6回という提示を受けた場合で見ていきます。相場ではなく、当てはめ方を示す計算例です。
| 見る順番 | 計算 | この例の結果 |
|---|---|---|
| 1回あたりの単価を出す | 24万円÷6回 | 4万円 |
| 自分の時間単価と比べる | 月商50万円÷稼働100時間 | 時間単価5,000円。相談1回は8時間分 |
| 3か月で回収する場合 | 24万円÷3か月 | 月8万円の増収が必要 |
| 12か月で回収する場合 | 24万円÷12か月 | 月2万円の増収が必要 |
単価改定や値上げの効果は、契約が終わってからも残ります。3か月で判定するのは、最も厳しく見た場合の下限です。
先に決めるのは、効果が何か月続くと見るかです。月8万円の増収が要るのか、月2万円で足りるのかは、この置き方だけで変わります。
この一問に答えられない提示は、金額の高低ではなく期間が合っていません。
なお、ここでの時間単価は経費を引く前の売上ベースです。稼働100時間という前提も自分で置いた数字なので、払える上限を見るなら手残りで計算し直します。
事業に関連する費用であれば必要経費に算入できる場合があり、実質の負担は下がります。可否は税理士に確認します。顧問料の目安は顧問税理士の費用にまとめています。
事業者として契約するときの自衛策
事業者として申し込んだ契約には、クーリングオフや消費者契約法の取消しが原則として及びません。特定商取引法が「営業のために若しくは営業として締結するもの」を適用の外に置いているためです。
もっとも、利益を得る意思があるだけで直ちに適用外になるわけではないと消費者庁は説明しています。
事業者として結ぶ契約では、法の保護ではなく契約書の条項だけが自分を守ります。申し込み前に、次の項目を一つずつ確認します。
- 総額と期間が書かれているか。月額表示だけで最低契約期間が不明なら、総額を質問します。
- 解約と返金の条件が、書面かページ上にあるか。
- 途中で担当が変わる場合の扱いが決まっているか。
- 収益や成果を保証する表現を使っていないか。
- 支払い方法と、分割にした場合の総支払額が明示されているか。
副業や内職を持ちかけて商材を売る形(業務提供誘引販売取引)に当たる場合は、個人でも20日以内のクーリングオフができます。
急かされた、断っても勧誘が続くというときの相談先は、契約の性質で分かれます。事業として結んだ契約なら、ひまわりほっとダイヤルや、受託仕事のトラブルを扱うフリーランス・トラブル110番です。
開業前や副業で、消費者として結んだ契約なら消費者ホットライン188が使えます。相談は無料で、通話料は自己負担になります。
いっぽうで、事業者からの相談は受け付けないと明記する消費生活センターもあります。屋号で申し込んだ契約は、消費者向けの窓口では扱えないものと考えておきます。
情報商材に関する消費生活相談は、2023年度6,256件、2024年度4,163件、2025年度2,623件と減っています。それでも年2,000件を超える水準は続いています。
これは消費者からの相談の集計で、事業目的の契約は基本的に含まれません。件数は2026年5月31日までの登録分です。
初回相談の準備とそのまま使える連絡文



初回相談には、何を持っていけばよいですか?



直近半年の数字、聞きたいこと一つ、決めたい期限の三点です。手書きのメモで足ります。
初回に持っていくのは三点です。
- 現状の数字:直近半年の売上、案件ごとの単価、主な取引先の内訳
- 聞きたいこと一つ:単価を上げたいのか、件数を増やしたいのか
- 決めたい期限:「今月中に値上げの可否を決めたい」まで言えると、相手が逆算して答えられます
手書きのメモで足ります。この三つが揃わないまま予約を入れると、初回の1時間は現状説明だけで終わります。
そのまま使える三つの連絡文
〔 〕を自分の状況に置き換えれば、そのまま送れます。長く書くほど返信は遠のくので、この長さのまま使ってください。
まずは無料窓口に、初回の枠を取るときの文です。
次は、有料の相手に単発から打診するときの文です。
最後は、初回のあとに見送るときの文です。
見送りの連絡に理由は書きません。理由を書くと反論の余地が生まれ、やり取りが続きます。
続けるか決める見直しの目安
初回のあとは、その場で継続を決めずに一度持ち帰ります。目安は、話したあとに次の行動が具体的に決まったかどうかです。
決まらなかったなら、論点の絞り方に原因があるかもしれません。相談の記録は、日付と論点と決めたことの三行で残します。
三か月後に読み返すと、同じ話を繰り返していないか、助言が実際に効いたかが見えます。助言なしで判断できることが増えたら、卒業や乗り換えの時期です。
まとめ
- ✓ 課題を一つに絞る:症状の裏にある本体を見きわめ、最も切実な論点だけを初回に持ち込みます。論点を三つ並べると、どれも浅くなります。
- ✓ まず無料窓口で整理する:よろず支援拠点や地域の商工会議所・商工会が中心です。最初の一本の電話で、対象条件と回数と相談方法の三つを確かめます。
- ✓ 継続が要るなら基準で選ぶ:同業種か同規模の経験、いまも事業を続けているか、自社商材への誘導、専門外を認めるか、こちらの話を先に聞くか。この五つを初回30分で見ます。
- ✓ 金額は回収期間で測る:1回あたりの単価を出し、何か月で回収するかを自分で決めてから必要な増収額を計算します。事業者の契約は契約書の条項だけが自分を守ります。
今日できるのは、自分の県の拠点ページを開き、相談内容の欄に300字で一つの論点を書くところまでです。その300字が、そのまま初回の議題になります。
よくある質問
- 相談で話した事業のアイデアが、外に漏れることはありませんか?
-
公的窓口では相談内容の取り扱いについて案内があるため、気になる点は予約の連絡で確認します。有料で継続契約を結ぶ場合は、秘密保持の条項が書面やページ上にあるかを申し込み前に見ておくと安心です。
- 相談のときに、確定申告書や通帳まで見せる必要がありますか?
-
初回は売上の推移と案件別の単価が分かるメモがあれば話は進みます。資金繰りや融資の相談に進む段階で詳しい資料を求められることがあるので、必要な書類は予約時に問い合わせて用意します。
- 家族や友人に相談するのでは足りませんか?
-
気持ちの整理には役立ちますが、値付けや取引条件のように事業の前提を共有していないと答えが出ない話には向きません。事業の判断は事業者を見てきた窓口へ、気持ちの支えは身近な人へ、と分けると両方が機能します。
- 開業届をまだ出していない副業の段階でも、相談できますか?
-
創業予定の段階を対象に含む窓口があります。ただし対象の書き方は窓口ごとに違うため、最初の連絡で自分の状況を伝え、対象に入るかどうかを先に確かめてください。
- 複数の相手に同時に相談してもよいですか?
-
問題ありません。同じ論点を二か所に持ち込むと、業種特有の話と共通の話を分けられます。助言が食い違うこともあるので、最終的にどの前提で決めるかは自分で持っておきます。
参考文献・出典
- 中小機構 よろず支援拠点とは
- 中小機構 よろず支援拠点の拠点一覧
- 中小機構 よろず支援拠点全国本部
- 東京都よろず支援拠点 相談予約
- 埼玉県よろず支援拠点
- 宮城県よろず支援拠点
- 東京商工会議所 無料経営相談の特徴
- 日本政策金融公庫 来店・オンライン相談
- 日本政策金融公庫 創業支援
- 東京都創業NET TOKYO創業ステーション
- フリーランス・トラブル110番
- 日本弁護士連合会 ひまわりほっとダイヤル
- 公正取引委員会 フリーランス法
- 消費者庁 特定商取引法ガイド 適用除外Q&A
- 消費者庁 特定商取引法とは
- 消費者庁 消費者ホットライン
- 荒川区 相談の前にご確認ください
- 国民生活センター 情報商材
- 中小企業庁 認定経営革新等支援機関検索システム
- 中小企業119
- 国税庁 個人事業の開業・廃業等届出書
- MENTA 料金の案内
最終更新: 2026-08-15。引用データは主に2026年8月時点です。情報商材の相談件数は2026年5月31日までの登録分、拠点サイトの集計は2026年8月15日に確認しています。









