個人事業主の顧客管理にCRMは必要?無料プランと費用で比較

個人事業主の顧客管理にCRMは必要?無料プランと費用で比較

ひとりで事業をしていて、顧客が数十件を超えたあたりから、記憶に頼る管理がきしみ始めます。

前回いつ何を納品したかが思い出せず、メールの検索窓に社名を打ち込んで過去のやり取りを探す。そんな時間が週に何度もあるなら、管理の方法が規模に追いついていない合図です。

見積を出したまま返事待ちになっている案件も、同じ理由で抜け落ちます。相手からの連絡が止まった瞬間に、案件は頭の中から消えるからです。落としているのは顧客名簿ではありません。案件の進行と、次に動く日です。

CRMは全員に必要なツールではありません。いまの規模なら表計算のままで足りる人もいます。

判断の材料は、無料で試せる範囲と、入力を続けられるかの二つです。月数千円の固定費を増やすほどの効果が出ない段階もあります。

あなたの手元の名簿は、いま何件になっているでしょうか?

この記事でわかること
  • CRMを入れたほうがいい人と、表計算のままで足りる人の分かれ目
  • 無料で使える4サービスの上限と、有料化した場合の1年目の費用
  • 名刺・スマホ・メール・LINEに散った顧客情報を集める手順
  • 30日後に続けるかどうかを見切る、二つの判定基準
目次

個人事業主に顧客管理のCRMは必要か

相談者

顧客が30件ほどありますが、そろそろCRMを入れるべきでしょうか?

編集長

件数ではなく、継続取引と紹介が売上をどれだけ支えているかで判断します。

必要かどうかは、継続取引と紹介が売上をどれだけ支えているかで決まります。顧客の件数そのものは判断の軸になりません。

一度きりの客が並んでいる名簿と、半年後にまた声がかかる客が並んでいる名簿では、必要な管理がまったく違います。半年後にまた声がかかる相手が並ぶ名簿なら、記録を残す価値があります。

なお、企業向けのIT利用調査は一定規模以上の会社を対象にしたものが多くあります。本記事で確認した範囲では、個人事業主を母集団にしたCRM導入率の調査は見当たりませんでした。参考にできる平均値がない以上、判断は自分の名簿の中身でするしかありません。

入れたほうがいい人の条件

次のうち二つ以上に当てはまるなら、検討する価値があります。

  • 継続取引の顧客が20件以上あり、それぞれ最後の接触時期がばらばらになっている
  • 見積を出したあとの追いかけを、思い出したときにしかできていない
  • 紹介で入ってきた顧客について、誰からの紹介かを記録していない
  • 過去の納品内容を聞かれたとき、答えるまでに5分以上かかる

共通しているのは、記録が無いことではありません。メールにもスプレッドシートにも残っているのに、探すのに時間がかかる状態です。

まだ入れなくていい人と、表計算の限界

次の状態なら急ぐ必要はありません。

  • 継続取引の顧客が20件未満で、全員の状況を覚えていられる
  • 取引が単発中心で、納品後のフォローが売上につながらない
  • 案件数を増やすより単価を上げるほうが優先度の高い時期にいる

この場合、月数千円の固定費と設定の手間に見合う効果は出にくくなります。先にやることは、いまの表計算を手直しすることです。

ただし表計算は、情報が一つのファイルに収まらなくなると急に弱くなります。名刺の束、スマホの連絡先、メールの受信箱、LINEのトーク履歴。どこを見れば最新かが分からなくなった時点が、ツールを見直す合図です。

  • 行が二重になる。同じ会社を、担当者名とサービス名の両方で登録してしまう
  • 最新版が分からない。手元のファイルとクラウドの版が食い違う
  • 履歴が残らない。上書きで更新するため、前回いつ何を話したかが消える
  • 通知が来ない。自分でシートを開くまで、期限が過ぎたことに気づかない
     ※表計算ソフトやカスタマイズ具合によって変わります。

このうち履歴と通知の二つは、表計算の作りそのものから来ます。列を足しても解決しないため、ここが痛み始めたらツールの層を上げる時期です。

ひとりで選ぶときの4つの基準

相談者

機能の多さや料金の安さで選んでよいものでしょうか?

編集長

先に見るのはスマホ入力・通知・連携・書き出しの四つです。料金はそのあとです。

見るのは四つです。スマホから追記できるか、次に動く日を知らせてもらえるか、メールやカレンダーとつながるか、無料枠のまま始めて書き出して抜けられるか。

  1. スマホから追記できるか(打ち合わせ直後に一行足せる)
  2. 次に動く日を知らせてもらえるか(タスクと期限の通知)
  3. メールやカレンダーとつながるか(入力の手間が減る)
  4. 無料枠で始めて、書き出して抜けられるか(初期費用とCSV書き出し)

料金は、この四つを満たす候補が複数残ったときに使います。権限管理やチーム共有を見ないのも同じ理由で、従業員がいない事業ではほぼ使いません。

なぜ料金より続けやすさを先に見るのか

月1,000円と月2,000円の差は、1年分で見ても数万円には届きません。この差より、三か月で入力をやめてしまうほうが損失は大きくなります。使わなくなったツールの利用料は、そのまま無駄な固定費として残るためです。

判断のこつは、無料期間中に「毎日触る場面」を作れたかで見ることです。打ち合わせ後にスマホで一行だけ書き足す、という動作が定着したツールが、そのまま自分に合ったツールです。機能比較表の丸の数は、この確認の代わりになりません。

用語の違いは短く押さえる

四つの用語は、貯めるのがCRM、追うのがSFA、並べるのが顧客管理ソフト、送るのがMAという違いです。

やりたいこと担当するツール
誰といつ何をしたかを貯めて、あとから探すCRM(顧客関係管理)
見積を出した案件の進み具合を追うSFA(営業支援システム)
名前と連絡先を名簿として整える顧客管理ソフト
見込み客へのメール配信を自動で回すMA(マーケティングオートメーション)

実際には、CRMを名乗る製品の多くが案件管理の機能も持っています。境目にこだわるより、履歴と次の予定を一か所に置けるかどうかで選ぶほうが実用的です。配信の自動化が効いてくるのは送る相手が数百件を超えてからで、数十件の段階では手で送るほうが速く済みます。

三つの層に分けて候補を絞る

相談者

いきなりCRMを契約したほうが早いのでは?

編集長

表計算の強化・軽量ツール・CRM専用の三層があります。困り具合に合う層から試します。

候補は、表計算の強化・軽量ツール・CRM専用の三層に分かれます。いま困っている度合いで、どの層から試すかが決まります。ツールを層で分けて考える見方は、AI業務効率化ツールの比較記事でも業務別に使っています。

新しく契約する前に、手元のツールで足りないかを確かめます。ここで足りるなら、追加費用はゼロで済みます。

会計ソフトの取引先一覧。freeeやマネーフォワードをすでに使っているなら、取引先の画面を開き、次回連絡日を書ける欄があるか見ます。請求のための名簿なので、無ければ履歴の置き場所としては足りません。

Googleコンタクトとカレンダーの組み合わせ。連絡先のメモ欄に前回の内容を書き、次に動く日をカレンダーの予定にすれば、通知まで届きます。いっぽうで「返事待ちがいま何件あるか」を一覧で見渡すことはできません。

表計算を強化して使い続ける

顧客が一つのファイルに収まっていて、更新するのが自分だけなら、この層で足ります。まず列をこの六つに固定します。

入れる内容
社名会社名または屋号
担当者相手の氏名
連絡先メールまたは電話
最終接触日最後にやり取りした日
次回連絡日こちらから動く予定日
状態進行中/返事待ち/完了

次に、期限が過ぎた行に色を付けます。

Googleスプレッドシートでは A2:F1000 のように行全体を含む範囲を選びます。「表示形式」から「条件付き書式」を開き、「カスタム数式」を選んでください。数式欄には =AND($E2<>"",$E2<TODAY()) と入れます。

この数式は、選択範囲の先頭が2行目である前提です。E列だけを選ぶと行全体に色が付かないため、範囲の取り方を先に確認します。当日締切の行も色を付けたいなら <=TODAY() に変えます。

ただし、色が付くだけで通知は飛びません。通知まで欲しいなら、Googleカレンダーに取り込みます。

別のシートに SubjectStart DateStart Time の三列を英語表記で作ります。それをCSVで書き出し、カレンダーの設定画面から読み込みます。

時刻の列を省くと終日の予定として入るため、通知はカレンダー側の既定設定しだいになります。取り込んだあとに、既定の通知設定を一度開いて確かめておくと取りこぼしが減ります。

軽量ツールで身軽に始める

表計算では物足りないが、CRMは重いと感じる場合の中間層です。無料枠と書き出しの可否だけ押さえます。

Notion。個人ひとりの利用はブロック数の上限がなく、アップロードは1ファイル5MBまでです。データベースはCSV形式で書き出せます。

有料のプラスは1メンバーあたり月1,650円です。ただし公式ページは支払い方法のトグルで表示が切り替わり、同じ画面に「年間プランで最大20%お得に」の注記が並びます。

Airtable。無料プランは1ベースあたり1,000レコード、添付は1ベース1GBです。グリッドビューからCSVをダウンロードできますが、書き出しはテーブル単位になります。

CRM専用サービスに移る

履歴と案件の進行を製品側の機能で管理したい段階になったら、この層に進みます。無料プランのあるサービスが複数あるため、費用をかけずに試せます。

いっぽうで、料金体系はサービスごとに考え方が違います。1ユーザー単位で契約できるもの、契約単位で課金されるもの、最低契約ユーザー数が決まっているものが混在します。ひとり事業では、この契約単位の違いが金額そのものより効きます。

無料プランと1年目の費用を比べる

相談者

無料プランだけで、どこまで使えるのでしょうか?

編集長

無料で使えるサービスが四つあります。有料に上げてもひとりなら1年目は2万〜3万円台です。

無料のまま使えるのはZoho CRM・HubSpot・Bigin by Zoho CRM・フリーウェイ顧客管理の四つです。有料に上げた場合、ひとりで契約できる範囲の1年目は2万円台から3万円台に収まります。

以下は2026年8月29日に各社の公式ページと公式ヘルプで確認した内容です。金額は税抜でそろえます。

kintoneとフリーウェイ顧客管理は税抜と明記されており、Zoho CRMの料金ページにも税抜の注記があります。HubSpotの日本語料金ページには税抜・税込の記載が見当たらないため、税込への換算は載せません。

無料で使える範囲

サービス無料で使える範囲(公式ページ記載)
Zoho CRM3ユーザーまで永久無料。データは5,000件まで
HubSpotユーザー数・コンタクト数に上限あり(詳細は公式ページで要確認)
Bigin by Zoho CRM500レコード。ユーザー数・パイプライン数は公式ページで要確認。アプリが機能一覧に記載
フリーウェイ顧客管理3人・1,000データまで無料、利用期間は無制限
kintone無料プランの記載なし

Zoho CRMの無料プランは、公式の機能比較表でカスタム項目が提供なしと案内されています。ワークフロールールやデータインポートの件数にも上限があり、詳細は同じ表(Zoho CRM 各プランの機能と制限)で確認できます。

データの5,000件は、単位の書き方が公式ページの間で割れています。無料プランの紹介ページは「タブ(データグループ)に5,000件」、機能比較表は組織あたりのデータストレージ5,000件と読めます。

HubSpotはコンタクト数に応じた上限があり、他の標準オブジェクト(会社・取引など)には別の上限が設定されています。顧客の履歴を貯める使い方ではコンタクト数が先に効きますが、上限が全体にかかるわけではありません。

無料枠の上限に何か月で届くかの試算

各社とも到達時期は公表していないため、公式の上限値から自分で計算します。前提は、新規の顧客が月10件、1件につき商談1件と活動記録1件を残す場合です。顧客レコードが月10件、全レコードが月30件増える想定の試算です。

サービス(無料枠)公式の上限上限に届くまでの目安
Zoho CRMデータ5,000件全レコードで数えて約14年
Bigin by Zoho CRM500レコード全レコードで数えて約1年5か月
フリーウェイ顧客管理1,000データ顧客だけで数えて約8年
Airtable1ベース1,000レコード全レコードで数えて約2年9か月

件数で先に詰まるのはBiginの無料枠くらいで、ほかは数年先です。無料枠を比べる軸は、件数よりも通知とアプリの有無に置くほうが実際的です。

1年目の総額と契約の縛り

ひとりが契約できる最小構成で並べます。年額の表記がないサービスは、月額を12倍した概算です。

サービス・プラン有料の月額(税抜)ひとりの最小構成での1年目総額契約の縛りと注記
Zoho CRM スタンダード1,760円(年間契約の月額換算)21,120円年間契約が前提の単価。月ごとの契約では金額が変わる
HubSpot Starter公式ページで要確認(割引表示が変動)公式ページで要確認公式に「年間契約はありません」。税表記の記載なし
Bigin エクスプレス1ユーザーから契約可・50,000レコード公式の料金ページで確認アクセス元により表示通貨が切り替わる
フリーウェイ顧客管理 有料版2,980円(1契約あたり/30,000データ)ひとりでは通常発生しない無料版の1,000データを超えたときに必要。1年ごとの更新で、途中解約の返金なし
kintone ライト1,000円120,000円(最低10ユーザー)年額12,000円×10ユーザー
kintone スタンダード1,800円216,000円(最低10ユーザー)年額21,600円×10ユーザー

無料枠のまま使える範囲なら、1年目は0円です。ひとりで契約できる範囲なら1年目は2万円台から3万円台、最低10ユーザーのkintoneだけ12万円台に跳ねます。

HubSpotの料金ページには、期間限定の割引表示が出ることがあります。

同じページには「新規のお客さま限定です」「一部のオファーは期間限定でご利用いただけます」といった注記が並びます。出典はHubSpot Starter Customer Platform 料金です。

表示される金額は訪問のタイミングやキャンペーンで変わります。本記事では変動する金額を固定値として載せません。

継続して使う前提で契約するときは、キャンペーン後の通常価格を公式ページで確認してから比較するほうが安全です。Zoho CRMの1,760円は年間契約の月額換算なので、月ごとの契約では金額が変わります。

フリーウェイ顧客管理には、1ユーザー追加1,000円、10,000データ追加1,000円というオプションもあります。ひとりで有料化する理由は人数ではなく、1,000データを超えたときです。

最低契約ユーザー数という落とし穴

個人事業主向けの比較でkintoneの名前が挙がることがあります。ただし公式の料金ページには、ライトコース・スタンダードコースともに最低契約ユーザー数10ユーザーと案内されています。出典はサイボウズ kintone 料金プランです。

つまり、ひとりで使う場合でも10人分の料金がかかります。金額そのものより、1ユーザーから契約できると思い込んだまま比較すると判断を誤る点が問題です。

kintoneは業務アプリを自分で組み立てられる製品で、複数人で使う職場では選ばれています。料金の改定が速い領域なので、契約前には各社の公式料金ページで見直します。

続けやすさで比べて入り口を決める

相談者

無料枠ならどれを選んでも同じですか?

編集長

通知とスマホアプリの有無で差が出ます。返事待ちの抜けを防ぎたいならHubSpotの無料枠です。

無料枠のまま何ができるかは、先の四つの軸で差がはっきり出ます。日本語の画面と日本語のヘルプは、本記事で参照した範囲ではいずれも用意されていました。

サービス(無料枠)スマホアプリ次に動く日の通知メールとカレンダーの連携書き出し
Zoho CRM機能比較表では提供なしタスクと活動のリマインダーは提供なしメール機能・カレンダー同期ともに提供なし公式ヘルプで要確認
HubSpotあり(iOS・Android)タスクに期限を設定でき、メールのリマインダーを送れる(すべての製品とプランが対象)Gmail・Microsoft 365・IMAPの受信トレイを接続でき、返信をレコードに記録できるコンテンツとデータのエクスポート機能を公式ヘルプで案内
Bigin by Zoho CRMあり(iOS・iPadOS・Android・macOS)予約やアポイントのスケジュールが1件無料プランの機能一覧に記載なし無料プランの機能一覧に記載なし

Zoho CRMの無料プランは、公式の機能比較表ではモバイルアプリもリマインダーも提供なしです。記録は残せますが、放置した案件を知らせてはくれません。

冒頭の痛みは、見積を出したまま返事待ちが抜けることでした。この痛みを無料枠のまま解決できるのは、期限つきのタスクとメールのリマインダーが全プランで使えるHubSpotです。Zoho CRMを無料で使うなら、通知はGoogleカレンダー側に持たせる形になります。

フリーウェイ顧客管理とkintoneは表から外しました。前者はスマホアプリがなく、通知やメール連携の仕様も公開されていません。後者には無料プランがありません。無料で1,000データを期間無制限に置ける点だけが、フリーウェイ顧客管理の利点です。

AI機能は各社が打ち出しています。ただし本記事で確認した無料プランの機能一覧には、Zoho CRMの無料列にもBiginの無料プランにもAI機能の記載がありませんでした。無料枠で試す段階では、判断材料になりません。

あなたの場合はどれから触るか

ここまでの表を、条件で一本に絞ります。

  • 継続取引が20件未満で、更新するのが自分だけなら、六列の表計算です。契約は要りません
  • 外出先での追記が多いなら、HubSpotの無料プランです。iOSとAndroidのアプリがあり、期限つきのタスクも無料枠で使えます
  • 同じ使い方をZohoの製品で始めたいなら、Bigin by Zoho CRMの無料プランです。500レコードまで使え、アプリが機能一覧に載っています
  • 顧客との連絡がメール中心なら、HubSpotの無料プランです。受信トレイを接続すると返信がレコードに残ります

受信トレイを接続するときは、やり取りした相手を自動でコンタクトに追加する設定を先に確認します。設定を入れたままにすると、顧客数十件のつもりでもコンタクト数の上限に想定より早く届きます。

迷ったら、いま抜けが起きている経路で選びます。外出先で前回の内容を思い出せないのか、メールの返事待ちを見失うのか。抜けの起きる場所が、そのまま入り口になります。

散らばった情報を経路別に集める

相談者

名刺もメールもLINEも、全部移す必要がありますか?

編集長

直近1年分と、次にこちらから動く相手だけで足ります。それ以前は連絡が来た日に足します。

ツールを決めても、名刺の束とLINEのやり取りは自動では集まりません。経路ごとに最小の手順を決めておくと、初日で終わります。移すのは直近1年分だけで足ります。それ以前の相手は、連絡が来た日に足せば間に合います。

取り込み仕様を先に確かめる

同じCSVを渡しても、通る条件はサービスごとに違います。以下は各社の公式ヘルプで確認した内容です。

サービス取り込める形式1回あたりの上限文字コード必須項目
Zoho CRM.csv/.xls/.xlsx/.vcf公式ヘルプで要確認(CSVなら超過可)ファイルの文字コードが自動的に検出されるレイアウト上の必須項目が空だと完了できない
HubSpot.csv/.xlsx/.xls(1ファイル1シート)無料プランは20MB・1日50件・1日500,000行外国語の文字を含む場合はUTF-8コンタクトはEメール、会社は社名かドメイン
kintoneCSV/TXT/TSV、ExcelCSVは100MB・10万行、Excelは1MB・1,000行日本語版Excel由来のShift-JISは文字化けの恐れアプリの設定しだい

つまずく箇所は三つです。

  • 文字コード。日本語版のエクセルで保存したままだと化けることがあるため、UTF-8を指定して保存し直す
  • 必須項目。空欄のまま渡すと、その行だけ弾かれる
  • 項目の対応付け。社名と担当者名が一つの列に混ざっていると検索が効かなくなるため、書き出す前に分ける

数千件の名簿でなければ、容量で止まることはありません。初日を止めるのは、HubSpotとkintoneでは文字コード、Zohoでは必須項目です。

名刺は撮影して書き出す

紙のまま持っていても検索できません。無料の名刺アプリを一つ決めて、次の三手で片づけます。

  1. スマホのアプリで撮影する。myBridgeは無料で、個人の名刺帳は登録枚数に上限がありません
  2. パソコンの画面を開き、溜まったデータをExcelファイルで書き出す
  3. CSV形式で保存し直して、CRMの取り込み画面から読み込む

撮影はスマホ、書き出しはパソコンと場所が分かれます。撮るだけで止まると、名刺の束が画面の中に移動しただけになります。

スマホの連絡先を書き出す

連絡先アプリからも、まとめて取り出せます。iPhoneならiCloud.comの連絡先を開き、対象を選んで共有のボタンから「vCardを書き出す」を選びます。

ただし、HubSpotが取り込めるのは .csv と .xlsx と .xls です。HubSpotを選んだなら、iCloudのvCardではなくGoogleコンタクトのCSV書き出しを使います。vCardをCSVに変換する手もありますが、一手増えます。

AndroidやGmailで管理しているなら、パソコンでGoogleコンタクトを開き、対象にチェックを入れ、その他の操作からエクスポートを選びます。書き出し形式はGoogle CSV形式です。

書き出すのは、取引のある相手だけで構いません。家族や友人まで混ぜると、名簿の中で顧客が埋もれます。

LINEとメールは次の一手だけ残す

やり取りの全文をCRMに移す必要はありません。移すのは、次にこちらから動く相手だけです。

対象は、返事待ちの案件と継続取引の相手に絞ります。20件なら、1件30秒として10分ほどの作業です。

  1. 返事待ちと継続取引の相手だけを一覧にする
  2. 各相手について「日付+一行要約」を書く(例:2026-06-12 サイト改修の見積を送付、返事待ち)
  3. その一行をCRMの履歴欄に貼り、次回連絡日を入れる

もっと削れます。LINEのトーク検索で相手の名前からやり取りを引けるなら、要約すら要りません。原本はLINEとメールに残っているので、CRM側は目次で足ります。

最初に入れる項目は五つに絞る

社名・担当者名・連絡先・最後に接触した日・次に連絡する日。この五つで進行管理は回り始めます。

業種や予算、興味のある商品といった項目は、あとから足せます。最初から10列を用意すると、埋まらない空欄が気になって入力をやめる原因になります。実際に検索や絞り込みで使った項目だけを、月に一度のペースで足していく形が続きます。

クラウドに置く前に確認すること

顧客の氏名や連絡先は個人情報です。個人情報保護委員会は、個人情報データベース等を事業に使っている場合、個人情報取扱事業者に該当すると説明しています。含まれる個人の数の多寡は問われません(出典:個人情報保護委員会 よくある質問)。

件数が少ないから対象外、という整理はできません。

本記事で確認した範囲では、保管先がどの国かを把握しておくこと(外的環境の把握)が挙げられています。もう一つは、保有個人データについて事業者の氏名や住所などを本人が知り得る状態に置くことです。

自宅兼事務所のひとり事業では住所の扱いが気になるところです。ただしサイトへの掲載だけが方法ではなく、本人の求めに応じて遅滞なく回答できる状態でも足りるとされています。

自分の事業がどの措置を取るべきかは、扱う情報の内容や規模で変わります。本記事では判断を示しません。迷う点があれば、個人情報保護法相談ダイヤルに問い合わせるのが確実です。

解約と乗り換えに備えるデータの扱い

相談者

始める前から解約のことまで考える必要がありますか?

編集長

顧客データは事業の資産です。書き出せる形式と件数の上限を契約前に確認します。

始める前に出口を見ておきます。顧客データは事業の資産なので、持ち出せない場所には置きません。

サービス書き出し形式件数・回数の制限解約後の保持期間の記載
Zoho CRMCSV・XLSX上限はプランで異なる(公式ヘルプで要確認)本記事の確認範囲では見当たらず
HubSpot公式ヘルプでエクスポート機能を案内日本語ページでは確認できず本記事の確認範囲では見当たらず
フリーウェイ顧客管理タブ区切りのCSV公式ページに記載なし本記事の確認範囲では見当たらず

解約後に何日残るかを公式ページで確認できないのは、この三つに共通します。記載を確認できない項目は、契約前に提供元へ問い合わせるのが確実です。

契約前に確認するチェックリスト

以下を公式ページで確認してから申し込むと、あとで動けなくなる事態を避けられます。

  • エクスポート機能があるか、形式は何か
  • 1回あたりの件数上限と、1日あたりの回数制限
  • 無料プランから有料プランへ移るとき、既存のデータをそのまま引き継げるか
  • 解約後にデータを取り出せる期間の記載があるか
  • 添付ファイルや履歴も書き出しの対象に含まれるか
  • 適格請求書(インボイス)が発行されるか。海外の事業者では扱いが分かれます

週に一度15分で更新する運用の型

ツールより運用が続くかどうかで結果が決まります。曜日と時間を固定して、次の三つだけをやります。

今週やり取りした相手の行に、一行だけ内容を書き足す。返事待ちの案件を上から見て、期限が過ぎたものに連絡する。最後に、来週こちらから動く相手の日付を入れる。

この三つで15分です。入力の量を増やすより、見る時間を決めるほうが定着します。

なお、請求と見積は会計ソフト側、CRMは履歴と次回連絡日、と役割を分けると迷いません。請求側の書式に不安があれば請求書の書き方の記事を先に見ておくと、移行後の運用がつながります。

30日後に続けるかを判定する

相談者

合わなかったときは、どう見切ればよいでしょうか?

編集長

始める日と一緒に30日後の判定日を決めます。入力が定着したかを二つの基準で見ます。

始める日と同時に、やめるかどうかを決める日も押さえます。退き際を先に決めておけば、合わなかったときに固定費だけが残る事態を避けられます。

試す30日間は無料枠か月払いにとどめ、年払いの契約は判定日を越えてからにします。年払いは一括の前払いになることが多く、フリーウェイ顧客管理のように途中解約の返金がないと公式に明記されている例もあります。

始める日をカレンダーに入れ、その30日後にも予定を入れます。30日目に見るのは二つです。

  • 直近の顧客20件のうち、次回連絡日が入っている行が15件(4分の3)以上あるか
  • 週1回15分の更新を、4回のうち3回以上できたか

ここまで埋まっていれば、抜けている案件が一覧の上で目に見えます。顧客数が違うなら、直近の4分の3と読み替えます。

両方を満たしたなら、そのツールは自分の手に馴染んでいます。無料枠の上限が近いなら、ここで有料化を検討します。片方でも満たせないなら、合っていないのは機能ではなく運用なので、いったん引き上げます。

満たさなかったときの戻り方

判定の日にそのまま実行できるよう、手順を三つに決めておきます。

  1. 入力済みのデータをCSVで書き出し、パソコンとクラウドの二か所に保存する
  2. 月払いで契約していれば次回の更新日前に解約する。年払いを前払い済みなら、期間の満了まで使ってから書き出す
  3. 書き出したCSVを表計算に読み込み、次回連絡日の列に条件付き書式を設定する

戻る先は空白ではありません。六列の表計算に、30日分の入力が色付きの行としてそのまま残ります。

まとめ

  • 判断の軸:顧客の件数ではなく、継続取引と紹介が売上をどれだけ支えているかで決まります
  • 無料枠の選び分け:通知とスマホアプリまで揃うのはHubSpotとBigin。Zoho CRMの無料枠は記録専用と考えます
  • 1年目の費用:ひとりで契約できる範囲なら2万円台から3万円台。最低10ユーザーのkintoneだけ12万円台に跳ねます
  • 次の一歩:分岐で当たった一つに直近20件と次回連絡日を入れ、30日目の判定日をカレンダーに置きます

次の一歩は小さくて構いません。分岐で自分に当たった一つを選び、直近の顧客20件と次に連絡する日を入れるところまでを、今日のうちに終わらせます。

有料化を考えるのは、無料枠の上限か、通知が足りないと感じたときです。返事待ちの案件が一週間後に自分の目に見えていれば、30日目の判定まで走らせる価値があります。

よくある質問

顧客がまだ5件ほどでも、先に入れておくべきですか?

急ぐ必要はありません。単発の受注が中心なら表計算で足ります。継続取引と紹介が売上を支え始めた時点で、履歴と次回連絡日の置き場所を決めれば間に合います。

会計ソフトの取引先管理と役割が重なりませんか?

重なりません。請求と見積は会計ソフト、履歴と次に動く日はCRMと分けます。会計ソフトの取引先画面に次回連絡日を書ける欄があるなら、当面はそれで足ります。

無料プランの上限を超えるとどうなりますか?

超えた分は登録できず、有料プランへの切り替えを案内されます。切り替えを判断する前に、無料のうちにCSVで書き出して手元に控えを持っておくと安心です。

顧客情報をクラウドに置くとき、まず何を確認しますか?

個人情報取扱事業者に該当する前提で考えます。保管先がどの国かを把握し、書き出せる形式を契約前に確かめます。迷う点は個人情報保護法相談ダイヤルに問い合わせるのが確実です。

複数のツールを同時に試してもよいですか?

おすすめしません。入力先が分かれると、どちらも中途半端になって定着しません。一つに絞って30日間続け、合わなければ書き出して次に移る形にします。

参考文献・出典

最終更新: 2026-08-29/引用データは主に2026年8月29日時点(各社の公式料金ページと公式ヘルプの記載)。個人情報取扱事業者の該当性は個人情報保護委員会の公表資料による

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この記事を書いた人

Toma氏のアバター Toma氏 一人社長 小さな事業の編集長

自らも一人社長として事業を経営し、「一人でも稼げる」「一人でも成長できる」 を実践。
Webマーケティング、BtoB営業、事業戦略を駆使し、社員ゼロで売上を伸ばす経営スタイルを確立。

「一人だからこそ、強く・自由に・スマートに。」をテーマに、独立・経営・集客・時間管理・資金繰り など、一人社長に必要な実践的なノウハウを発信中。

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