ジム開業で最も重要なのは、業態と立地を明確にして現実的な資金計画を立てることです。
本記事ではジム経営の初期費用の全体像とジム開業資金の考え方を提示し、規模別(小規模/中規模/大型)の概算と項目別内訳、想定される回収期間、費用削減策を示して資金判断の材料を提供します。

自己資金で開業できるか、回収期間はどれくらいですか?



まずは想定会員数と面積を決め、物件取得費と機器費の見積もりを優先して作成しましょう。
- 規模別初期費用の目安(小規模ジム・中規模パーソナルジム・大型24時間ジム)
- 物件取得費・内装工事・ジム設備費などの項目別内訳と概算レンジ
- 投資回収期間と損益分岐点の目安
- 費用削減策の具体例(中古機器・リース・シェアスペース活用)
ジム経営の初期費用は規模と立地で決まる現実
ジム経営を成功させるためには、事業の規模と物件の立地を最初に明確化することが非常に重要です。
これから解説するジム開業資金の全体像を把握し、初期費用に幅が生まれる理由を理解した上で、ご自身の計画に合った業態と面積、そしてターゲットの会員数を決定していきましょう。
これらを具体的に定めることが、現実的な資金計画を立てるための第一歩となります。
ジム開業資金の全体像
ジムの開業に必要な資金は、大きく分けて「初期費用」と「運転資金」の2種類で構成されます。
まずは、開業時に必要となる初期費用の全体像を把握することが大切です。
例えば、30坪程度の小規模ジムを開業する場合、初期費用はおよそ400万円から900万円が目安となります。
費用の項目 | 内容 |
---|---|
物件取得費 | 保証金、敷金、礼金、仲介手数料など |
内装工事費 | 壁、床、電気、水道、空調などの工事 |
設備費 | トレーニングマシン、シャワー、ロッカーなど |
広告宣伝費 | ホームページ制作、チラシ、Web広告など |
備品購入費 | タオル、体重計、清掃用具など |
各種手続き費用 | 会社設立費用、許認可申請、保険料など |



ジムを開業したいけど、まず何から考えればいいの?



まずは初期費用の全体像を把握することから始めましょう。必要な項目を知ることで、具体的な計画が立てやすくなりますよ。
これらの項目を一つひとつ丁寧に見積もっていくことで、漠然としていた開業資金が明確になり、より現実的な事業計画の作成につながります。
初期費用に大きな幅が生まれる理由
ジム開業の初期費用に数百万円単位の幅が生まれる最大の理由は、物件の立地条件と内装デザインへのこだわりにあります。
特に物件取得費は、エリアや階数によって大きく変動する項目です。
例えば、都心の駅近にある1階路面店を選ぶと、保証金だけで500万円以上かかるケースも珍しくありません。
一方で、郊外のビルの2階以上にある物件では、同じ広さでも保証金を100万円以下に抑えることが可能です。
項目 | 高コストになる選択例 | 低コストになる選択例 |
---|---|---|
立地 | 都心・駅近・1階路面店 | 郊外・駅から徒歩10分以上・空中階 |
内装 | デザイン性の高いスケルトン物件 | 居抜き物件・シンプルな内装 |
マシン | 最新モデルの新品を複数導入 | 中古品やリースを活用 |
このように、どこにお金をかけてブランド価値を高めるのか、どこを節約してコストを抑えるのか、戦略的な判断をすることが資金計画を立てる上で非常に重要になります。
最初に決めるべきジムの業態と面積
ジムの業態とは、どのような顧客にどんなサービスを提供するかを示すビジネスモデルのことです。
代表的な業態には、マンツーマン指導に特化した「パーソナルジム」や、好きな時間に利用できる「24時間ジム」、ヨガやダンスなどのプログラムを提供する「スタジオ型ジム」などがあります。
さらに、特定のニーズに応える「女性専用ジム」も人気です。
業態によって必要な施設の面積(坪数)も大きく変わってきます。
例えば、トレーナー1名で開業するパーソナルジムであれば10坪~15坪ほどの小規模スペースでも運営可能です。
一方で、複数のマシンを設置する24時間ジムは、最低でも50坪以上の広さが求められます。
ジムの業態 | 主な特徴 | 面積の目安 |
---|---|---|
パーソナルジム | マンツーマン指導、高単価 | 10坪~30坪 |
24時間ジム | マシン特化、無人運営可能 | 50坪~100坪以上 |
スタジオ型ジム | グループレッスン、特定プログラム | 30坪~60坪 |
女性専用ジム | 女性に特化した設備とサービス | 20坪~50坪 |



私みたいなトレーナーが一人で始めるなら、どの業態がいいんだろう?



まずは得意な指導を活かせるパーソナルジムがおすすめです。省スペースで開業でき、初期費用を抑えやすいですよ。
まずは自分の強みや想定する顧客層を整理し、それに合った業態と必要面積を決めることが、ジム経営を成功に導く大事なポイントです。
ターゲット会員数から考える事業規模
ジム経営の事業計画を立てる際は、売上を達成するために必要な会員数を設定し、その数字から逆算して事業規模を決める方法が効果的です。
目標会員数を明確にすることで、必要な施設の面積や配置すべきジム機器の台数が見えてきます。
例えば、会員数50名を目標にするなら、パワーラック1台、スミスマシン1台、有酸素マシン数台を備える程度で十分です。
この場合、30坪ほどのスペースがあれば運営できます。
規模を抑えられるため、ジム経営の初期費用やジム開業資金も大きく膨らまず、安定した経営を目指しやすいでしょう。
ターゲット会員数 | 想定されるジム規模 | 必要な主な設備 |
---|---|---|
~50名 | 小規模パーソナル・スタジオ | パワーラック、フリーウェイト、マシン数台 |
50名~150名 | 中規模パーソナル・24時間ジム | マシン各種、カーディオエリア、更衣室 |
150名以上 | 大型24時間ジム | 豊富なマシン、フリーウェイトゾーン、スタジオ |
まずは無理のない会員数をターゲットとして設定し、その規模に合った物件や設備を検討することが、堅実なジム経営を実現する秘訣です。
ジム経営の初期費用:全9項目の詳細な内訳
ジム経営を成功させるには、開業時にどの費用がどれくらい必要かを正確に把握することが重要です。
ここからは、物件取得費から人件費まで、ジム経営の初期費用を構成する全9項目の金額目安を具体的に解説します。
これらの項目を一つずつ見積もることが、実現可能な事業計画を立てるための第一歩となります。
物件取得費:保証金・敷金・礼金
ジムを開業する場所を借りる際に発生するのが物件取得費で、家賃の前払いや物件を借りるためのお礼などが含まれます。
一般的に、物件取得費の合計は家賃の6ヶ月〜12ヶ月分が目安となり、初期費用の中でも特に大きな割合を占める項目です。



物件取得費って、家賃以外にそんなにかかるの?



はい、特に都心部では高額になりがちです。初期費用の中でも大きな割合を占める項目ですよ。
項目 | 内容 | 費用目安(家賃30万円の場合) |
---|---|---|
保証金・敷金 | 家賃滞納や退去時の原状回復費用に充てられる預け金 | 180万円〜300万円(家賃6〜10ヶ月分) |
礼金 | 物件のオーナーへ支払うお礼金 | 30万円〜60万円(家賃1〜2ヶ月分) |
仲介手数料 | 不動産会社に支払う手数料 | 30万円(家賃1ヶ月分) |
前家賃 | 入居する月の家賃 | 30万円 |
合計 | ー | 270万円〜420万円 |
特に保証金は高額になるため、交渉や居抜き物件の活用によって、この物件取得費をいかに抑えるかが資金計画の重要なポイントになります。
内装工事費用:デザインと機能性
内装工事費用とは、物件の壁紙や床材の変更、トレーニングスペースの確保、更衣室やシャワールームの設置など、ジムのコンセプトを実現するための工事にかかる費用全般を指します。
費用は工事の内容によって大きく変動しますが、坪単価10万円〜30万円程度が相場とされています。
工事内容 | 概要 |
---|---|
デザイン・設計 | ジムのコンセプトに基づいた空間デザインやレイアウトの設計 |
床工事 | トレーニング器具の設置に耐えられる床材への張り替え、防音・防振対策 |
壁・天井工事 | 壁紙の張り替え、鏡の設置、照明設備の取り付け |
水回り工事 | シャワールーム、トイレ、洗面所の新設・改修 |
電気・空調工事 | トレーニングマシン用の電源確保、空調設備の設置 |
間仕切り工事 | 更衣室やカウンセリングルームなどを区切る壁の設置 |
理想のジムをつくるには、デザイン性も大切ですが、利用者の動きやすさを意識した機能性とのバランスが欠かせません。
その両方を兼ね備えることが、顧客満足度を高めるポイントです。
トレーニングマシンの購入・リース費用
ジムのコンセプトを決定づける最も重要な投資が、トレーニングマシンの費用です。
導入するマシンの種類や台数によって費用は大きく変わりますが、すべて新品で揃える場合は最低でも300万円〜1,000万円はかかります。
中古品の活用やリース契約を組み合わせることで、初期費用を大幅に抑えることが可能です。



マシンは新品と中古、どっちがいいの?



予算とコンセプト次第ですが、中古やリースをうまく活用するのがおすすめです。初期投資を抑えられますよ。
方式 | メリット | デメリット |
---|---|---|
新品購入 | 最新モデルを導入できる、メーカー保証が手厚い | 初期費用が非常に高額 |
中古購入 | 初期費用を新品の3〜7割程度に抑えられる | 保証がない場合がある、故障リスク |
リース契約 | 初期費用を抑えられる、月々の支払いで経費計上できる | 所有権がない、総支払額は購入より高くなる |
パーソナルジムならフリーウェイトを中心に、24時間ジムなら多彩なマシンを用意するなど、ターゲット層に合った設備を厳選することが大切です。
その上で、新品購入・リース・中古を上手に組み合わせて導入することがポイントになります。
シャワーや更衣室などの設備費
会員の満足度を左右するのが、シャワーや更衣室などの設備です。
特に女性会員をターゲットにする場合、清潔感とプライバシーへの配慮は欠かせません。
シャワーユニットは1基あたり30万円〜80万円、ロッカーは1台あたり2万円〜5万円が導入費用の目安です。
設備 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
シャワーユニット | 30万円~80万円/基 | 給排水工事が別途必要 |
ロッカー | 2万円~5万円/台 | サイズや鍵の種類で変動 |
洗面台・鏡 | 10万円~30万円/台 | 設置工事費込み |
ドライヤー・アメニティ類 | 5万円~10万円 | 消耗品費として定期的に発生 |
空調設備 | 20万円~100万円 | 規模や性能による |
防犯カメラ | 10万円~50万円 | 24時間ジムでは必須 |
トレーニング後の快適さを提供することは、リピート率向上に直結します。
ジムのコンセプトに合わせて、必要な設備への投資を計画的に行いましょう。
広告宣伝費:ホームページ制作費含む
広告宣伝費は、開業前からオープン後の集客を成功させるために不可欠な先行投資です。
主な費用の内訳としては、ジムの顔となるホームページ制作に約20万〜100万円、さらにオープン初期の集客を強化するために、チラシやWeb広告などで月5万〜30万円程度を見込んでおく必要があります。



オープン前から広告って必要なの?



はい、先行入会キャンペーンなどでスタートダッシュを切るために不可欠です。
広告媒体 | 内容 | 費用目安 |
---|---|---|
ホームページ制作 | ジムの紹介、料金プラン、予約システムなどを掲載 | 20万円~100万円 |
Web広告 | Google広告やSNS広告でターゲット層にアピール | 月額3万円~ |
チラシ・ポスティング | 店舗周辺の地域住民へ直接アプローチ | 5万円~(1万部) |
看板制作 | 店舗の認知度を高めるための看板やのぼり | 10万円~ |
オープニングキャンペーン | 入会金無料などの特典で初期の会員獲得を促進 | 広告費に含む |
開業当初はジムの認知度が低いため、地域やターゲット層の特性を分析し、費用対効果の高い広告戦略を立てることが成功の分かれ道となります。
会員管理システムの導入費用
会員管理システムとは、入退会手続きや予約管理、月謝の決済、会員への連絡などを一元管理し、ジム運営を効率化するITツールです。
導入費用はシステムによって異なりますが、現在は初期費用が0円〜30万円、月額費用が1万円〜5万円ほどのクラウド型サービスが主流になっています。
システム名 | 初期費用 | 月額費用 | 特徴 |
---|---|---|---|
MINDBODY | 要問い合わせ | 要問い合わせ | フィットネス業界で世界的なシェア、多機能 |
hacomono | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 無人運営にも対応、セキュリティ連携に強み |
Coubic (STORES 予約) | 0円~ | 0円~26,378円 | 無料プランから始められる、小規模ジム向け |
PIKIT | 0円 | 9,800円~ | パーソナルジムに特化、トレーナーの指名予約も可能 |
手作業で行うと煩雑な事務作業を自動化できるため、トレーナーが指導に集中できる環境が整います。
小規模なジムであっても、運営の負担を減らすために導入を検討する価値は十分にあります。
開業後3ヶ月分の運転資金
運転資金とは、開業直後の売上が安定しない時期を乗り切るための手元資金のことで、事業を継続させるための生命線です。
初期費用に加えて、家賃・人件費・水道光熱費など毎月発生する固定費は、最低でも3か月分、できれば安心して運営できるよう6か月分を確保しておくのが望ましいでしょう。
項目 | 費用目安(月額) | 3ヶ月分 |
---|---|---|
家賃 | 30万円 | 90万円 |
人件費 | 30万円(1名) | 90万円 |
水道光熱費 | 5万円 | 15万円 |
通信費 | 1万円 | 3万円 |
広告宣伝費 | 5万円 | 15万円 |
消耗品費 | 2万円 | 6万円 |
合計 | 73万円 | 219万円 |
この運転資金が不足すると、集客施策を打つ前に資金ショートを起こしかねません。
自己資金や融資を受ける際には、設備投資などの初期費用と運転資金を明確に分けて計画することが極めて重要です。
保険料や許認可手続きの費用
ジムを安全に運営するためには、万が一の事故に備えた保険への加入と、法令に沿った許認可手続きが欠かせません。
例えば、トレーニング中の怪我や施設の不備による事故を補償する「施設賠償責任保険」への加入が必要です。
保険料の目安は、年間で数万円~十数万円ほどになります。
項目 | 内容 | 関連機関 |
---|---|---|
施設賠償責任保険 | 会員の怪我や施設内での事故に備える保険 | 損害保険会社 |
火災保険 | 火災や自然災害による建物・設備の損害に備える保険 | 損害保険会社 |
開業届 | 個人事業を開始したことを税務署に申告する手続き | 税務署 |
消防署への届出 | 防火対象物として建物の使用を開始する際に必要な届出 | 管轄の消防署 |
保健所への確認 | プールや公衆浴場を設置する場合に必要な許可申請 | 管轄の保健所 |
これらの費用自体は初期費用全体から見れば少額ですが、手続きを怠ると重大な経営リスクにつながります。
開業前に必ず必要な手続きを確認し、漏れなく対応しましょう。
人件費:スタッフの採用と育成
人件費は、トレーナーや受付スタッフに支払う給与だけでなく、社会保険料の会社負担分や、採用広告費、研修費用なども含めた総額で考える必要があります。
正社員を1人雇用する場合は、給与に社会保険料などを加えると、月々のコストは30万円以上になるのが一般的です。



最初は自分一人で運営することもできるかな?



もちろん可能ですが、清掃や事務作業もあるので、無理のない範囲で計画を立てることが大切ですよ。
雇用形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
正社員 | 責任感が強く、長期的な戦力になる | 人件費が高く、社会保険料の負担がある |
業務委託 | 必要な時に専門スキルを活用できる、社会保険料の負担がない | 指揮命令ができない、帰属意識が低い傾向 |
アルバイト | シフトの自由度が高い、人件費を抑えられる | 育成に時間がかかる、定着しにくい |
ジムの評判はスタッフの質に大きく左右されます。
そのため、事業規模に合わせて最適な雇用形態を選び、採用後の育成まで見据えた計画を立てることが、長期的な成功につながります。
【規模別】ジム経営の初期費用シミュレーション3選
ジム経営を成功させるためには、事業規模に応じた正確な初期費用の把握が欠かせません。
規模によって必要な資金は数百万円~1億円以上と大きく変動するため、ご自身の計画に合ったシミュレーションを参考にすることが重要です。
ジムの規模 | 初期費用の目安 |
---|---|
小規模ジム | 400万~900万円 |
中規模パーソナルジム | 800万~2,000万円 |
大型24時間ジム | 3,000万~1億円 |
ここでは、小規模ジム・中規模パーソナルジム・大型24時間ジムの3つのモデルケースに加え、フランチャイズ加盟時にかかる費用についても解説します。
これから紹介する費用の内訳を参考に、あなたのジム開業に向けた資金計画を具体的に立てていきましょう。
小規模ジム(スタジオ・パーソナル)の開業費用
小規模ジムとは、30坪〜50坪程度の広さで、会員数30〜50人を見込むパーソナルジムやスタジオ型ジムを指します。
ジム経営の初期費用をできるだけ抑えて始めたい方に適した規模で、開業資金の目安は400万〜900万円程度です。
物件選びや内装・設備を工夫すれば、自己資金の範囲内で開業することも十分可能なモデルです。



小規模ジムだと、具体的に何にお金がかかるの?



物件取得費や内装工事費、マシン購入費が主な内訳ですよ。費用の詳細を見ていきましょう!
項目 | 費用の目安 | 備考 |
---|---|---|
物件取得費 | 50万~300万円 | 保証金・敷金・礼金など |
内装工事費用 | 100万~400万円 | 簡易的な内装でコストを抑制 |
トレーニングマシン購入費 | 100万~400万円 | フリーウェイト中心とマシン数台 |
設備費 | 30万~180万円 | 電気・空調・シャワーなど |
備品・許認可・保険料 | 15万~130万円 | 事務用品や手続き費用 |
広告宣伝費 | 20万~100万円 | ホームページ制作費やチラシ作成費 |
運転資金(3ヶ月分) | 150万~400万円 | 開業直後の家賃や人件費 |
小規模ジムの開業費用を計画通りに進めるには、物件取得費とマシン購入費をいかにコントロールするかが成功の鍵を握ります。
中規模パーソナルジムの開業費用
中規模パーソナルジムは、会員数50〜150人、広さ50坪以上を目安とするジムです。
より多くの会員を受け入れるため、初期費用の目安は800万〜2,000万円と小規模ジムに比べて増加します。
サービスの質を向上させ、他店との差別化を実現するために投資が求められる段階です。
項目 | 費用の目安 | 備考 |
---|---|---|
物件取得費 | 100万~500万円 | より広い物件が必要 |
内装工事費用 | 200万~700万円 | デザイン性や機能性の向上が求められる |
トレーニングマシン購入費 | 200万~600万円 | マシンの種類と台数が増加 |
設備費 | 100万~300万円 | シャワー室の増設や空調能力の強化 |
備品・許認可・保険料 | 30万~150万円 | 規模に応じた費用 |
広告宣伝費 | 50万~200万円 | より広範囲な集客活動が必要 |
運転資金(3ヶ月分) | 200万~500万円 | 人件費や固定費の増加 |
中規模ジムでは、集客力を高めるための広告宣伝費や、複数のスタッフを雇用する場合の人件費も考慮した余裕のある資金計画が不可欠です。
大型24時間ジムの開業費用
大型24時間ジムは、100坪以上の施設で、セキュリティシステムを導入して24時間営業を行うジム形態を指します。
地域で圧倒的な存在感を放つ大型ジムの初期費用は、3,000万〜1億円以上と非常に高額です。
幅広いマシンのラインナップと充実した設備が求められるため、まとまった初期投資が必要になります。



24時間ジムは、なぜこんなに費用が高くなるの?



広い物件と多数のマシンに加え、セキュリティシステムの導入が必須だからです。初期投資は大きいですが、会員数を確保できれば収益性も高くなりますよ。
項目 | 費用の目安 | 備考 |
---|---|---|
物件取得費 | 500万~2,000万円 | 郊外の大型物件や駐車場用地 |
内装工事費用 | 1,000万~4,000万円 | 大規模な工事と防音対策 |
トレーニングマシン購入費 | 1,000万~3,000万円 | 豊富な種類のマシンを多数導入 |
設備費 | 500万~1,500万円 | セキュリティシステム、シャワー、空調 |
広告宣伝費 | 200万~1,000万円 | 大規模なプレオープンキャンペーンなど |
運転資金(3ヶ月分) | 500万~1,500万円 | 高額な固定費と人件費 |
大型24時間ジムの経営は個人開業ではハードルが高く、法人として綿密な事業計画と十分な資金調達が成功の前提となります。
フランチャイズ加盟の場合の初期費用
フランチャイズ加盟は、本部のブランド力や運営ノウハウを活かしてジムを開業する方法です。
自己資金での開業費に加え、加盟金や研修費として200万〜500万円ほど追加で必要になるのが一般的です。
エニタイムフィットネスやカーブスといった有名チェーンに加盟すれば、開業初期から安定した集客が期待できるメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
ブランド力による高い集客効果 | 加盟金やロイヤリティが発生 |
確立された運営ノウハウの提供 | 経営の自由度が低い |
開業準備や研修のサポート | 契約期間や違約金の制約 |
広告宣伝を本部が代行 | 本部の経営方針に左右される |
未経験でジム経営を始める場合、フランチャイズは安心できる選択肢ですが、ロイヤリティなど継続的な費用を考慮し、複数の本部を慎重に比較検討することが大切です。
ジム開業の初期投資を抑える節約方法と資金調達
ジム開業の初期費用を計画通りに進めるには、支出をしっかり抑える工夫と、外部資金の上手な活用を組み合わせることが大切です。
具体的には、中古トレーニング機器の活用やマシンのリース契約、内装工事費用の削減といった節約術があります。
さらに、日本政策金融公庫からの融資や、利用できる助成金・補助金を把握しておけば、資金調達の選択肢が広がります。
これらを活用すれば、自己資金が十分でなくてもジム開業の夢を実現できます。
中古トレーニング機器の賢い活用術
中古トレーニング機器とは、以前に他のジムなどで使用されていたマシンや器具のことです。
新品に比べて大幅にコストを抑えられるのが最大のメリットになります。
例えば、テクノジムやライフ・フィットネスなど有名ブランドの新品レッグプレスマシンは200万円ほどします。
ですが、中古なら50万〜100万円程度で購入でき、初期設備費を半分以上抑えることが可能です。



中古品って、品質や保証が心配です…



信頼できる専門業者を選べば大丈夫です。メンテナンス済みの高品質な機器を保証付きで提供してくれる会社も多いですよ。
メリット | デメリット |
---|---|
初期費用を大幅に削減 | 最新モデルではない場合がある |
有名ブランド品が手頃な価格 | 故障時の保証が短い、またはない |
納品までの期間が短い | 希望の機種が見つからないことがある |
中古品販売業者を複数比較し、保証内容やメンテナンス状況をきちんと確認することが、賢い選択につながります。
マシンリース契約のメリット・デメリット
マシンリース契約とは、月々の料金を支払うことでトレーニングマシンを借りられるサービスを指します。
購入するよりも初期費用を劇的に抑えられるのが特徴です。
例えば、初期費用で500万円のマシンを購入する代わりに、リース契約なら月々10万円ほどの支払いで済む場合があります。
こうすることで、手元の現金を運転資金に充てることができます。



リースと購入、結局どちらがお得なの?



初期費用を抑えたいならリース、長期的に見て総支払額を抑えたいなら購入がおすすめです。事業計画に合わせて選びましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
初期投資を大幅に圧縮 | 総支払額は購入より高くなる |
最新機種を導入しやすい | 契約期間中は解約できない |
経費として処理できる | 所有権はリース会社にある |
特に開業当初は資金繰りが厳しいことが多いため、ジムの機器をリースで揃えるのは非常に有効です。
内装工事費用を削減するアイデア
ジムの雰囲気を作る内装工事は費用がかさみがちですが、工夫次第で大幅にコストを削減できます。
例えば、壁紙を自分で塗装するDIYを取り入れたり、更衣室の仕切りをカーテンにしたりするだけで、数十万円単位での節約が可能です。
削減アイデア | 具体的な内容 | 削減効果の目安 |
---|---|---|
居抜き物件の活用 | 前のテナントの内装をそのまま利用 | 数十万~数百万円 |
DIYの導入 | 壁の塗装や床材の設置を自分で行う | 数万~数十万円 |
素材の見直し | 高価な素材から安価な素材に変更 | 数万~数十万円 |
相見積もりの徹底 | 3社以上の内装業者から見積もりを取る | 工事費用の10~20% |
ジムのコンセプトを損なわない範囲で、賢くコストカットできる部分を見極めることが大切です。
日本政策金融公庫からの融資審査ポイント
日本政策金融公庫は、個人事業主や小規模事業者の開業を支援する政府系の金融機関で、民間銀行よりも融資を受けやすいのが特徴です。
特に「新規開業資金」は、最大7,200万円までの融資が可能で、多くのジム開業者が活用しています。
審査で最も重視されるのは、自己資金の額と事業計画書の具体性です。



自己資金はどれくらい用意すればいいの?



融資希望額の3分の1程度が目安です。自己資金をコツコツ貯めてきた姿勢が評価されますよ。
審査ポイント | 内容 |
---|---|
自己資金 | 融資希望額の3分の1以上が望ましい |
事業計画書 | 収支計画や返済計画が具体的で現実的か |
経験・能力 | ジム経営に関連する職務経験や資格の有無 |
信用情報 | 個人のローン返済履歴などに問題がないか |
融資を受けるためには、事業の成功を具体的に描き、説得力を持たせた事業計画書を作成することが重要です。
活用できる助成金・補助金の種類
助成金・補助金は、国や地方自治体から受け取れる返済不要の資金です。
ジム経営の初期費用の負担を軽減するために積極的に活用しましょう。
例えば、経済産業省が管轄する「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓のための広告宣伝費などに最大50万円が支給される制度になります。
制度名 | 管轄 | 対象経費の例 |
---|---|---|
小規模事業者持続化補助金 | 経済産業省 | ホームページ制作費、チラシ作成費 |
IT導入補助金 | 経済産業省 | 会員管理システムの導入費用 |
キャリアアップ助成金 | 厚生労働省 | スタッフの研修費用、正社員化 |
地域創造的起業補助金 | 各都道府県 | 創業にかかる経費全般 |
申請期間や条件は制度によって異なるため、自治体のホームページや商工会議所で常に最新情報を確認することが重要です。
投資回収期間の目安と事業計画書の作り方
投資回収期間とは、ジム開業に投じた初期費用を、事業の利益で回収しきるまでにかかる期間のことです。
この期間を明確にすることが、事業計画書を作成する上で最も重要になります。
一般的に、小規模ジムの投資回収期間は2~4年が目安です。
月々の売上目標、損益分岐点を正確に算出し、現実的な回収計画を立てましょう。
項目 | 記載内容 |
---|---|
事業概要 | ジムのコンセプト、ターゲット顧客 |
市場分析 | 商圏の競合調査、自社の強み |
収支計画 | 売上予測、経費計算、利益予測 |
資金計画 | 初期費用内訳、資金調達方法 |
返済計画 | 融資を受ける場合の月々の返済額 |
精度の高い事業計画書は、金融機関からの信頼を得られるだけでなく、開業後の経営の道しるべにもなります。
まとめ
本記事では、ジム開業に必要な初期費用の全体像を、規模別の目安や物件取得費・内装工事費・機器費用・運転資金・人件費・運営費・維持費などと合わせて解説しました。
回収期間や費用削減の工夫についても触れ、特に業態と立地を明確にして現実的な資金計画を立てることが重要であるとお伝えしました。
- 規模別初期費用の目安
- 項目別内訳(物件取得費・内装工事費用・ジム機器費用等)
- 投資回収期間の目安
- 費用削減の具体策(中古機器・リース・居抜き活用)
まずは想定する会員数と必要な面積を決め、物件取得費とジム機器費の見積もりを優先的に作成しましょう。
必要に応じて日本政策金融公庫や地域の創業支援窓口に事業計画書を持参し、中古機器やリース、居抜き物件の現地確認も進めてください。