海外の面白いビジネスモデル6選｜新規事業のアイデアになる成功事例まとめ

海外の面白いビジネスモデルは、新規事業で短期間に差別化を狙ううえで、とても参考になります。

この記事では、海外の面白いビジネスモデル6選を国名とともに紹介します。

それぞれのモデルの魅力や収益化の仕組み、導入の難易度を分かりやすく整理しているので、 新しい事業アイデアを考える際に役立てることができます。

新規事業のアイデアになる海外ビジネスモデルの特徴

新規事業を成功させるためには、他社と明確に差別化されたビジネスモデルを構築することが重要です。

ここでは、なぜ海外のビジネスモデルに注目が集まるのか、ユニークな成功事例を見つけるための選定基準、そして日本市場への導入可能性を判断するポイントについて解説します。

これらのポイントを理解することで、自社の強みを活かした新規事業のアイデアを見つけ出すヒントが得られます。

なぜ今、海外のビジネスモデルに注目が集まるのか

海外のビジネスモデルとは、日本とは異なる市場環境や文化、テクノロジーを背景に生まれた事業の仕組みを指します。

例えば、欧米ではサブスクリプション（定額制）モデルの市場が年平均20%以上成長しており、所有から利用へと消費者の価値観が変化していることがわかります。

このように国内ではまだ普及していない斬新なモデルを取り入れることで、競合のいない市場を開拓できるのです。

つまり、海外の面白いビジネスモデルの成功事例は、凝り固まった思考を打ち破り、新たな市場を創造するための貴重なヒントの宝庫だと言えます。

ユニークな成功事例を見つけるための3つの選定基準

ただ珍しいだけでなく、自社の事業に応用可能で、かつ収益が見込める「ユニークな成功事例」を見つけることが大切です。

そのためには、「課題解決の新規性」「収益モデルの持続性」「市場拡大の可能性」という3つの基準で評価する方法が有効になります。

ユーザーの特定の悩みを、これまでにない方法で解決しているか、初期費用が安くても長期的に利益を生み出せる仕組みがあるか、といった視点で海外の面白いビジネスモデルを分析します。

選定基準	チェックするポイント	具体例
課題解決の新規性	既存サービスでは満たされていない顧客のニーズを捉えているか	食品ロスという社会課題をテクノロジーで解決
収益モデルの持続性	一時的な収益でなく、継続的に利益を生み出す仕組みがあるか	利用者が増えるほど収益も増えるプラットフォーム手数料
市場拡大の可能性	特定のニッチ市場だけでなく、将来的に広い層に受け入れられるか	ファッションレンタルから家具や家電への横展開

この3つの基準に沿って海外の事例をフィルタリングすることで、単なる面白いアイデアに留まらず、事業として成功する確率の高いビジネスモデルを発見できます。

日本市場への導入可能性を判断するポイント

導入可能性の判断とは、海外で成功したビジネスモデルが、日本の文化や法律、消費者の行動様式に合うかどうかを見極める作業です。

特に、「法規制」「文化・習慣」「インフラ」の3つの観点から慎重に検討する必要があります。

例えば、遠隔医療サービスは日本の医療法、ライドシェアサービスは道路運送法といった法律の壁が存在します。

また、チップ文化がない日本で、チップを前提としたサービスモデルは受け入れられにくいでしょう。

チェックポイント	確認事項
法規制	関連する法律や条例に抵触しないか（例：薬機法、個人情報保護法）
文化・習慣	日本人の価値観やライフスタイルに合っているか（例：現金決済へのこだわり）
インフラ	サービス提供に必要な物流網や通信環境が整っているか
競合状況	日本国内に強力な競合サービスが存在しないか

これらのポイントを事前に調査し、日本市場向けにモデルを修正することで、海外の成功事例を自社の新規事業として成功させる可能性が格段に高まります。

海外の面白いビジネスモデル6選

新規事業のアイデアを探す上で、海外のユニークなビジネスモデルから学ぶことは非常に重要です。

これから紹介する事例は、食品ロス削減からレジなしの無人店舗まで、多岐にわたる分野の成功事例をまとめたものです。

これらの斬新なアイデアを自社の強みと組み合わせることで、日本市場に合った新しいサービスを生み出すヒントが見つかります。

サービス名	国	分野	収益化方法	導入難易度
Too Good To Go	デンマーク	食品ロス削減	手数料、プレミアム機能	中
Rent the Runway	アメリカ	ファッション	定額課金、延滞料	高
HelloFresh	ドイツ	ミールキット	定額課金、追加課金	中
Babylon Health	イギリス	医療	企業向け定額課金、保険連携	高
Amazon Go	アメリカ	小売	商品売上、省人化によるコスト削減	高
The RealReal	アメリカ	高級品リユース	販売手数料、鑑定サービス料	中

Too Good To Go（デンマーク）：食品ロスをなくすプラットフォーム

このサービスは、飲食店や小売店で売れ残った食品をアプリユーザーが手頃な価格で購入できるプラットフォームです。

社会問題である食品ロスをビジネスチャンスに変えた、海外の面白いビジネスモデルの代表例と言えます。

2023年時点で世界17カ国に展開し、8,500万人以上のユーザーと15万5,000店以上の提携店舗を持つ巨大なエコシステムを構築しました。

項目	内容
何が面白いか	飲食店の余剰食品をリアルタイムで安価に販売
収益化方法	取引ごとの手数料、店舗向けプレミアム機能
導入難易度	中
導入時の注意点	食品衛生・表示ルールの整備、店舗の運用負荷軽減
類似業種への応用案	花屋の売れ残り、ベーカリーの閉店間際商品、書店の返本前書籍

ユーザーは安く食事を手に入れられ、店舗は廃棄コストを削減しつつ新たな収益源を確保できます。

Rent the Runway（アメリカ）：ファッションの定額レンタルサービス

「所有から利用へ」という価値観の変化を捉えた、ファッションアイテムの定額レンタルサービスです。

利用者は月額料金を支払うことで、通常は購入が難しいデザイナーズブランドの洋服やアクセサリーを気軽にレンタルできます。

取り扱いブランドは800以上にのぼり、ユーザーは常に新しいファッションを体験できます。

項目	内容
何が面白いか	高級服を定額制で提供し、利用のハードルを下げる
収益化方法	月額課金、延滞料、クリーニング費用、提携ブランドとのコラボ商品
導入難易度	高
導入時の注意点	高度な在庫管理、クリーニング体制の構築、返品ロスの対策
類似業種への応用案	高級腕時計、家具、電動工具、ベビー用品、キャンプ用品

膨大な商品を効率的に管理・循環させる独自のシステムが、この海外の面白いビジネスモデルを支える根幹です。

HelloFresh（ドイツ）：ミールキットの定期配送

必要な食材とレシピがセットになった「ミールキット」を定期的に自宅へ届けるサービスです。

献立を考える手間や買い物の時間を省き、料理のハードルを下げたことで世界中の多忙な家庭から支持を集めています。

2023年には660万人のアクティブ顧客を抱え、世界18カ国で事業を展開する業界のリーダーです。

項目	内容
何が面白いか	レシピと食材のセットを定期配送し、料理体験を簡便化
収益化方法	定期課金、プレミアムメニューへの追加課金、ワインなどの関連商品販売
導入難易度	中
導入時の注意点	物流網の最適化、食材調達コストの管理、顧客の嗜好データ分析
類似業種への応用案	健康食品のセット、ペットフード、家庭菜園キット、知育玩具

顧客データを活用して毎週新しいレシピを提案し、利用者を飽きさせない工夫が成功の要因です。

Babylon Health（イギリス）：AI診断と遠隔医療の融合モデル

AI診断（トリアージ）とは、AIがチャット形式で症状を聞き取り、緊急度を判断して適切な医療機関を案内する仕組みです。

このAI技術とビデオ通話による遠隔診療を組み合わせ、医療へのアクセスを劇的に改善しました。

国民保健サービス（NHS）と提携し、ピーク時には数百万人のユーザーにサービスを提供するなど、テクノロジーを活用した海外の面白いビジネスモデルです。

項目	内容
何が面白いか	AIトリアージとオンライン診療で、24時間365日医療相談を可能にする
収益化方法	企業向けの福利厚生としての定額課金、公的医療保険との連携
導入難易度	高
導入時の注意点	各国の医療法規への準拠、個人情報保護、医師による監督体制の整備
類似業種への応用案	メンタルヘルス相談、栄養指導、オンラインでのリハビリ支援

法的な課題はありますが、医療従事者の負担軽減と患者の利便性向上を両立させる可能性を秘めています。

Amazon Go（アメリカ）：レジなし決済の無人店舗

レジなし決済とは、店内に設置されたカメラやセンサー、AI技術を駆使して顧客が手に取った商品を自動認識し、退店するだけでAmazonアカウントに請求される画期的なシステムです。

「Just Walk Out」技術と呼ばれ、究極の顧客体験と店舗運営の効率化を実現します。

現在、アメリカとイギリスで約30店舗が運営されています。

項目	内容
何が面白いか	センサーと決済システム連携で、店舗の完全無人化・省人化を図る
収益化方法	小売商品の販売利益、省人化による運営コストの削減効果
導入難易度	高
導入時の注意点	高額な初期投資、プライバシー保護とセキュリティ対策
類似業種への応用案	コンビニエンスストア、社員食堂、イベント会場のグッズ販売店

収集した購買行動データを分析し、商品配置の最適化や需要予測に活用できる点も大きな強みです。

The RealReal（アメリカ）-高級ブランド専門の委託販売

委託販売とは、個人が持つ商品を預かり、代わりに販売して手数料を得るビジネスモデルです。

The RealRealは、このモデルを高級ブランド品に特化させ、専門の鑑定士による真贋鑑定を組み合わせることで信頼性を担保しました。

3,400万人以上の会員が利用する、信頼性の高いリユース市場を構築した成功事例です。

項目	内容
何が面白いか	専門家による真贋鑑定を組み合わせ、高価格帯リユース市場の信頼を構築
収益化方法	商品の販売手数料（商品価格に応じて変動）、鑑定サービス料
導入難易度	中
導入時の注意点	真贋鑑定の信頼性担保、商品の状態管理、流通プロセスの透明化
類似業種への応用案	中古楽器、美術品、ヴィンテージ家電、希少なスニーカー

「本物である」という安心感を提供することが、他のフリマアプリとの明確な差別化要因となっています。

海外の成功事例を自社の新規事業へ活かす3つの視点

海外の面白いビジネスモデルを単に真似るだけでは成功しません。

自社の状況に合わせて応用する視点が最も重要です。

ここでは、文化や法規制の違いを乗り越えるための調査、小さな規模でテスト導入する方法、そして収益モデルを自社の強みに合わせて最適化する手順の3つの視点から、具体的な進め方を解説します。

これらの視点を持つことで、海外の成功事例を自社の強力な武器に変えることができます。

文化や法規制の違いを乗り越えるための調査

海外事例を日本に導入する際、最初の壁となるのが文化（商習慣）や法規制です。

これらは国ごとに大きく異なるため、事前の調査が成功の鍵を握ります。

例えば、イギリスの遠隔医療モデルBabylon Healthを日本で展開する場合、日本の医師法や医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。

また、食品関連のビジネスなら食品表示法や衛生管理基準の確認が不可欠です。

調査分野	主な確認項目	関連法規の例
医療・ヘルスケア	オンライン診療の可否、医師の資格要件、広告規制	医師法、医療法、薬機法
食品・飲食	食品表示、アレルギー表示、衛生管理基準、添加物	食品表示法、食品衛生法
金融・決済	資金決済法、個人情報保護法、ライセンス要件	資金決済法、割賦販売法
CtoCプラットフォーム	古物営業法、特定商取引法、プラットフォームの責任範囲	古物営業法、特定商取引法

専門家の意見も聞きながら、法的なリスクと文化的な適合性を事前に洗い出すことが重要です。

小さな規模でテスト導入する具体的な方法

本格的な事業展開の前に、小さな規模でテスト導入（PoC: Proof of Concept）を行うことで、リスクを最小限に抑えながら市場の反応を確かめられます。

例えば、デンマークのToo Good To Goのような食品ロス削減モデルを試すなら、まずは自社オフィスのある地域の飲食店3〜5店舗と提携し、特定のエリア限定でサービスを開始するのが現実的です。

ステップ	実施内容	期間の目安
1. 企画	目的と仮説（KPI）を設定、対象エリアとターゲットを決定	2週間
2. 準備	最小限の機能を持つアプリやWebサイトを開発、提携先を開拓	1〜2ヶ月
3. 実行	限定的なプロモーションを行い、ユーザーの利用データを収集	1〜3ヶ月
4. 分析・評価	KPIの達成度を評価し、本格展開の可否や改善点を判断	2週間

このサイクルを繰り返すことで、本格展開に向けた確度の高いビジネスモデルを構築できます。

収益モデルを自社の強みに合わせて最適化する手順

海外事例の収益モデルをそのまま導入するのではなく、自社の既存事業や顧客基盤といった強みを活かして最適化することが、持続的な成長につながります。

たとえばアパレル企業に勤めている場合は、アメリカのRent the Runwayが採用する定額レンタルのビジネスモデルを参考にすると良いでしょう。

自社ブランドのアイテムをレンタル対象に組み込めば、新しい顧客層の開拓と、製品を試す機会の提供という2つの効果が期待できます。

最適化アプローチ	具体例	期待できる効果
既存事業との連携	BtoBの顧客基盤を持つ企業が、海外のSaaSモデルを導入し既存顧客へ提供	クロスセルによる顧客単価の向上
独自データの活用	ポイントカードなどで得た顧客データを活用し、パーソナライズされたサービスを提供	LTV（顧客生涯価値）の向上
技術力の応用	自社が持つAIや画像認識技術を、海外のECプラットフォームモデルと融合	競合との差別化、付加価値の創出
ブランド力の活用	確立されたブランドイメージを活かし、プレミアム価格帯のサービスを展開	高い利益率の確保

自社の資産を最大限に活用することで、単なる模倣ではない、競争優位性のある新規事業を立ち上げることが可能です。

まとめ

この記事では、海外の面白いビジネスモデル6選を国別に整理し、それぞれの特徴や収益化の仕組み、導入の難易度を分かりやすく紹介しました。

特に、海外の成功事例を日本市場向けにローカライズし、小規模にテストすることが成功への鍵となります。

まずは、この記事で紹介した中から自社に合いそうな海外の面白いビジネスモデルを2〜3案選び、地域を絞って3か月ほどのPoC（実証実験）を行いましょう。

その結果をデータで分析し、次のステップを判断することが大切です。